2009年8月
撮る観光案内(ワインの楽しみ方講座)
今回は、世界でも高い評価を得るとともに、日本でも人気の高いフランスワインについてお話します。
ワインの生産量の世界一はイタリア、ぶどうの栽培面積の世界一はスペインです。しかしながら、ワイン作りに適した気候と風土、歴史に根ざした『ワイン文化』、知名度などを考えると、私はフランスワインが一番好きです。
『フランス人は水の代わりにワインを飲む』と言われているように、フランス人の生活と密接に関わるワインの楽しみ方についてご紹介していきましょう。
フランスワインとは?
フランスワインはボルドー地方、ブルゴーニュ地方、シャンパーニュ地方という三大銘醸造地があり、その他にロワール地方、コート・デュ・ローヌ地方、ラングドック・ルーション地方、プロヴァンス地方、アルザス地方という8つの代表的な地方名があります。
ワインというのは英語であり、フランスでは ヴァン(vin)です。よって赤ワインは ヴァン・ルージュ(vin rouge)、白ワインはヴァン・ブラン(vin blanc)となります。
今回は特に、私の勤めるフランス甲南学園トゥレーヌのあるロワール地方(Val de Loire)のワインについて詳しく話していきましょう。
ロワール地方のワインとは?
概要:
フランスの庭園(ヴァル・ド・ロワール Val de Loire)と呼ばれている地域は、フランスの中央部(リヨン方面)を源として一旦は北の方向に流れ、オルレアンから西に方向を変え、ナントの先にて大西洋にそそぐ全長約1000キロを流れている一番長いロワール河の流域にあります。
ブドウは年間の平均気温が10~20度の温暖な地域に育ちますが、ロワール地方はブドウの栽培地としては北に位置するため、環境的には厳しいところです。白ワインと赤ワインの両方が味わえる場所です。
生産地区:
ロワール河の上流から中央フランス、トゥレーヌ、アンジェ・ソミュール、ナントという4つの地区に区分されています。
4つの地区の中でトゥール市を中心に左右に広がったトゥレーヌ地区をご紹介します。
トゥレーヌ地区(Touraine):
左方向(西側):
シノン(Chinon)・・・カベルネ・フランから造られる赤ワイン。ボルドーのワインより色合いがやや薄く、スミレの香りがあるとも言われています。ヴィエンヌ川(この川はロワール河に注ぐ)のほとりにあるシノンという町を中心にした地域。シノンの城は1429年シャルル七世とジャンヌ・ダルクとの最初の出会いの舞台となったところです。
右方向(東側):
ヴーヴレー(Vouvray)とモンルイ(Montlouis)・・・シュナン・ブラン種から造られる白ワイン。酸味が豊富で辛口から甘口までいろいろな種類があります。アンボワーズ城(フランソワ1世とレオナルド・ダ・ヴィンチの舞台)からトゥールにかけてのロワール河岸、北側がヴーヴレー、南側がモンルイという町を中心にした地域。
ボトルの形:
ボルドーのボトルは「怒り肩」ですが、このトゥレーヌ地方のものは赤・白とも「なで肩」で首から胴にかけてなめらかに膨らんでいるボトルです。
ボルドー(赤)
シノン(赤)
ヴーヴレー(白)
ブドウの栽培と収穫
苗木は植えてから3年で実がつきますが、4年目からのブドウがワイン用となります。通常木の寿命は50年と言われており、樹齢15年から30年の間でのブドウからのワインが良質だとされています。
ブドウの苗木を植えると上に伸びていかず地面を這って広がりますが、この地方では垣根仕立てという形態で木の横に杭を立て伸びてきた枝をくくりつけて横に横に伸ばします。
冬と夏に剪定をし、6月に花が咲き9月には収穫できますが、その年のブドウの糖度を検査しながら、収穫のGOサインが出るまで待ちます。機械での収穫は避け、今でも一房一房ハサミで茎から切り落とします。地域ごとでの収穫は一斉にスタートするため親戚だけでは手が足りなくなり、アルバイト学生を動員して朝から収穫し、夕方から夜にかけて絞る作業に入ります。
ワインを飲む前に
以前よりボジョレ・ヌーボー(Beaujolais nouveau)という言葉が広がりました。毎年11月の第3木曜日の午前零時に発売が開始されるということで皆さんも馴染み深い言葉になっていますが、ボジョレというのは最初にお話しました三大銘醸造地ブルゴーニュ地方のもっとも南側のリヨン市に近い生産地域の名前です。ヌーボーとはフランス語で新しいという意味です。その年の早だしワインのことです。日本では有名ではありませんがここトゥレーヌ地方でも トゥレーヌ・ヌーボー があり、その発売の夜は町中でお祭り騒ぎとなります。
秋になり店先ではブドウが並び始めました。今年のぶどうの出来具合が気になります。暖炉で焼き栗をしながら、ワインを片手にくつろぐ静かな時間の流れが楽しみです。
いかがでしたでしょうか?ワインのラベルはそのワインの履歴書になりますので、産地や収穫年などを確かめながら味わってください。日本では今日ご紹介した産地のワインは手に入りにくいと思いますが、インターネットなどを利用して求めるのも良し、機会があればこのトゥレーヌ地方の古城めぐりをしながら、村々の軒先に OUVERTE ウーヴェルト(OPENの意味)と書かれた看板があるので、覗いてみてください。農家では突然の訪問客を歓迎し、CAVE カーヴ(年間平均気温が10度ほどの岩窟に作られた自然貯蔵庫)に案内して、試飲させてくれます。
「gouter s・v・p!」 (グテー シルヴプレ)
「味見させてください!」と、是非言ってみてください。




