2009年6月
撮る観光案内(はじめてのTGV乗車講座編)
今回は日本の新幹線にあたるTGVという鉄道のお話をします。
フランス国鉄(SNCF)が運行する高速鉄道の車両であるTGVは高速列車を意味する Train(列車) a Grande(大きい) Vitesse(速度) の略。1981年パリ・リヨン間の南東線が最初に開業され、現在は国内だけではなく、欧州の多くの国へ直通にて乗り入れています。
駅舎とTGV列車
私の勤めるフランス甲南学園トゥレーヌの最寄り駅であるトゥール駅への列車ルートはパリから2通りあります。ひとつはシャルル・ド・ゴール空港駅(1時間45分)から、もうひとつはパリ市内南にあるモンパルナス駅(1時間)からです。シャルル・ド・ゴール空港駅からは郊外の貨物線を走った後、モンパルナスの南にてTGV専用路線に合流し、しばらく車窓からの田園風景を眺めていると、サンピエール・デ・コール駅に到着します。トゥール駅はサンピエール駅から盲腸のように入り込んだ場所にある駅です。
トゥール駅の駅舎はたびたびご紹介していますが、オルセー駅(現在のオルセー美術館)を設計したヴィクトル・ラルーによるものです。終点の駅であり、まるでクロード・モネ作「サン=ラザール駅」という作品のようです。駅には屋根がありますが、ほんの一部。ほとんどが屋根なしの部分であり、長い編成のTGVはほとんどが外です。駅前には噴水があり地下は駐車場になっています。
トゥール駅は「ロワールの古城めぐり」の基点となっています。シュノンソー城、アンボワーズ城、シノン城、ショーモン城、ブロワ城、シャンボール城など、現存する古城は100以上といわれ、軍事目的の城と王侯貴族の城館が混ざり合っています。
列車の乗り方
駅のホーム
トゥール駅の列車時刻掲示板
クロード・モネ作「サン=ラザール駅」
列車を確認してホームへ
自動改札機
列車時刻表示板(Trains au depart)にて乗る列車の時刻・行き先・番線を確認します。
フランスの鉄道駅には改札がありません。ホームには自由に入り込むことができますが、列車に乗るときはきちんと切符を切ってから乗りましょう。
列車表示板にてホームを確認後、黄色いポストを見つけてください。それが自動改札機(compostage de billets)です。乗車する前にかならず切符を差し込み、パンチを入れてください。日本の旅行社で購入された切符であっても同じ扱いです。これを怠って乗車し、車内で車掌検札を受けてパンチされていないと3倍ほどの料金を請求されます。ご注意ください。
列車をみつけたら・・・
列車編成表示板
TGVは全席指定席のため乗るべき号車がどこに止まるのかの確認が必要です。ホームには細長いテレビ画面があります。これが列車編成表示板(composition des trains)です。今自分がどのあたりなのか(ICI=現在地)、列車の号車はどのあたりに停まるのかを示しています。
列車情報を表示するテレビ
まず自分の切符を見て、VOIT(号車)の数字を確認し、表示板を見ます。たとえば 1・2・3号車はA、4・5・6号車はBという表示になっています。ホームの上のほうを見ますと、確かにAとかBと表示されていますのでそのあたりまで移動します。
TGV列車はSIMPLE(1編成)とDOUBLE(2編成)があります。1編成は10両であり、前後に気動車が付いているため12両編成。DOUBLEとなれば24両編成になります。気動車の部分は通り抜けできません。また、フランスは目的地に向けて途中でこの編成を切り離すことがあるので、必ず指定された号車に乗らないととんでもないところに行ってしまうこともあります。
乗車する
TGVの乗降車口は前後の2箇所、大きな荷物置き場は入り口横にあります。
鉄道に興味のある方はTGV列車の台車も見てください。気動車は前後に台車がありますがその他は連結器の下に台車があるという連接台車であり、転がり抵抗を減らしています。日本にはない形です。
車内
自分の座席を探す
いよいよ指定された座席番号を目指し移動しますが、自分の座るべき席にしっかりと座っている人がいるということがあります。日本では理解しにくいことなので、人のいい日本人は声もかけられずにうろうろ。このような場合にはしっかりと自分の指定席券を示し、「この席は私のです。C'est ma place.セ マ プラス。移動してください。Bougez-vous de la.ブジェ ヴ ドゥ ラ」と、はっきり言いましょう。フランスでは" 空いていたから座っていたんだ "という感覚。
座席の様子
ようやく座席に座り、ほっと一息。荷物棚のほうに目を上げてまたびっくり。前のほうの人としっかりと目があっているではありませんか?棚の下がすべて鏡になっているのです。
じっくり見てみれば、誰も眠ってなんかいません。なぜこんな風に鏡になっているのだろう?
盗難の多いフランスでは自分を守るひとつの形であるのでは?と、納得したしだいです。
いよいよ出発
発車のベルは鳴りません。あるとすれば駅員の笛のみです。 しっかりと時計見ながら行動しなければ、と思うのですが、日本のように出発時間もかなり大雑把ですので十分に注意。
車内では・・・
車内では車掌による検札があります。飲み物や食べ物などのワゴンセールスはありません。食堂車も形のみあり、サンドイッチと飲み物程度です。もちろん金額は高いです。乗車前にしっかりと買って置きましょう。
しっかり確認!
車内放送もほとんどなく、下車駅近くになると何分後にどこの駅に着くかという放送がありますが、なかなか聞き取れません。列車がホームに滑り込んでも、駅名の看板も数が少ないので、かなり戸惑います。
要するに「自分の目で確かめて乗り、車内では寝ず、停車駅もしっかり確認」。
乗車券 見方を覚えておきましょう

いかがでしたでしょうか?日本の列車とは異なることも多く、戸惑うこともあるでしょうが、TGVに乗ることで、行動範囲は格段に広がります。
フランス=パリというイメージから脱し、TGVに飛び乗って、いろいろなフランスの楽しみ方を見つけてください。
では、良い旅を! Bon Voyage!
蚤の市
フランスに来た頃は、vide-grenier(屋根裏部屋を空にする)や brocante(古物売買)と呼ばれる蚤の市によく行きました。
最近行った村の蚤の市
初春から初冬にかけて毎週違う町や村で催されるのです。ですから同時にこの地域の美しい場所を訪れることができました。都市の定期的に催されるbrocanteは主にプロの古物商が軒を並べていますが、大体各市町村が年1回ほど催すものは、地元住民がいらないけれど、捨ててしまうには気が引ける品々を手放し、また、ちょっとしたお小遣いを稼ぐ良い機会です。いつも週末に行われるので、家族総出、または、友人と共に、店を出し、そのそばでお昼時には楽しそうにワインで食事をとっていたりします。品物の値段も大抵あまり欲がなく、掘り出し物に出会うこともあります。また、小さい子ども達が、もう使わなくなったおもちゃや本を親の傍らで売っているのもほほえましいです。
そばで飲み物・お菓子を売ってハイチへの寄附に
私は、陶器が好きなので、いくつか買い集めました。フランスの各地域の陶器(時々外国の物も。多分旅行土産でしょう。)、もう閉鎖された窯のもの、今も続く窯の昔の版などです。使い古された様々な、生活用品に、この国の文化や情緒を感じたものです。
最近では、目が慣れて、蚤の市のものは古くさく感じて足が遠のいていましたが、暖炉の奥に取り付ける飾り模様の付いた鉄板(真っ黒)を探している友人と、先日、数年ぶりに近くの村の蚤の市に出かけました。この日は、遅く行ったこともあり、どれもがらくたのように見えてしまいましたが、それでも、お対のベッドスタンド2個を2ユーロ(約300円?)、しかし、コードが1つ欠けていたので、1.50ユーロにしてもらって、手に入れました。今だに点くか試してはいませんが。
この一緒に行った友人のアドバイスは、蚤の市で良い物を見つけようと思ったら、朝一(6時くらいから店を出したりしています。)、そうでなければ、蚤の市終了の1時間ほど前に行くこと。残り物一掃を図り、値段を一気に下げたりするそうです。
パリでは、クリニャンクールの蚤の市が有名ですが、フランスの田舎の美しい景色を愛でつつ、金儲けが主たる目的ではない、地元住民の蚤の市、面白いですよ。




